〔秘伝書①〕「組織づくり。ビジネス思考の秘伝52則 エピソード1/人類の祖先、木登り下手説 ~創意工夫は、やがてみんなを豊かにする
- 人類の祖先、木登り下手説★【1a10】
本稿は、新生営業第一課誕生から5年後に小鹿課長が書いた著書「営業第一課新体制の説明会 〜人類の祖先、木登り下手説〜」からの転載です。
TRAi事業が仲間に
今回、TRAi事業が仲間に入りし、私たちは、MNV保守、NAVi、TRAiの3つの事業を担う課になりました。元々、営業第一課で3つの事業を担えると言っていたのですが、「本当に3つも運営できるのか」「課の人数が多すぎる」などの理由で、まずはMNV保守、NAViの2つの事業でスタートしました。その後、MNV保守、NAViとも安定運営を続け、かつ攻めの姿勢で事業収支を改善していく道筋を示せたことで、今回、TRAi事業と一緒になることができました。
総勢300名相当
業務委託先で私たちの事業を最前線で支えてくれている人も合わせると、営業第一課は総勢300名相当で3つの事業(売上高ジャンボ宝くじ1等7本分×2回)を運営しています。人数が増えることは大歓迎です。営業第一課では、基本「長所10割、短所0割」で長所しか見ないので人数が多いほうができることが増えるという発想です。短所は仕組みでカバーします。
私たちの現在地
昨年4月と同じことを言いますが、今回の組織改正も最終形ではありません。3つの事業は組織改正の度に数合わせの組織として都合よく扱われてきましたが、やっと3つの事業が揃いました。今後はバラバラになることなく、拡大し続けることを志向します。本日、第一部のこの時間は「設備販売課」と「営業第一課」を比べることで私たちの現在地を鮮明にする機会にします。これから2つの話をします。
組織特性と役割の相違
一つ目は「組織特性とメンバー役割の相違」です。まずは、今年4月にMNV保守事業を振り返った際にまとめた小冊子の「あとがき」を紹介します。小冊子「MNV保守事業の軌跡と未来の実況中継★」は、ブランドづくりをテーマにしたものです。あとがきは、MNV保守チームを主語に書いていますが、チームNAViもTRAiチームも同じ共通の話です。
組織には人格がある
あとがきの内容を補足すると、会社のことを法人といいます。人という言葉を使います。組織には人格があるということです。まだ見ぬ人とは私たちがこれから先も長く事業継続していくなかで、5年・10年後に初めて出会う顧客や新たに業務に携わる人がいるという意味です。そして、私たちは長期的なことを考える人と、目の前の仕事に集中する人に役割分担しています。どちらも大切な仕事です。大半の人は安心して目の前の仕事に全力を注いでもらえれば大丈夫です。
陸上や水泳、ゴルフ
改めて一つ目の組織特性とメンバー役割の相違についてですが、設備販売課との一番の違いは、自分以外の他の人との関係性です。設備販売課は、顧客の業種や規模が異なるものの、基本全員が同じことをしています。自己完結しており、連携の機会は僅かです。結果、自分の目標達成を一番に考えます。スポーツで例えると選手会に属しながら陸上や水泳、ゴルフのような個人競技をしています。
サッカーやラグビー
一方、営業第一課は、それぞれが異なる役割を担っており、全員の工程がうまく有機的に繋がらないと運営もうまくいきません。チームNAViはいい例で全員の役割が異なっています。結果、チームの目標達成を一番に考えます。スポーツで例えると野球やサッカー、ラグビーをしています。このため営業第一課では自然と助け合い、一体感が生まれています。
歩んだ道のりの違い
次に、二つ目「歩んだ道のりの違い〜進化〜」の話をします。201X年の組織改正時、MNV保守とNAVi事業が一緒になった営業第一課ができたとき、周囲から「大変だね」と言われ続けました。おそらく理由は二つあり、不振事業をやる人は私も含めて営業ができない人たち(問題児)の集まり、MNV保守とNAVi事業は赤字が当たり前でいいことがないと思われていたためです。
人間の進化の説
では設備販売課と営業第一課がこれまでに歩んだ道のりがどうだったかを「人間の進化の説」を交えながら振り返ります。人間の進化については、人間は猿・猿人から進化してきたという説を聞いてきたかと思います。図の右側の人はホモサピエンスで解剖学上は現代の人間です。後ろを追っかけているのはクロマニョン人。左端の小さいのが、猿のような初期の猿人として知られています。これがひとつの人間の進化の説です。
弱点あるから進化した
この図の進化とは別の説は、現在の人の祖先は実は猿の優等生ではなく劣等生だった、猿が木から降りてきて人間に進化したのではなく、木登りが下手だった猿が今の人間の祖先に進化したという説です。木登りの上手い優等生な猿は木の上で外敵から身を守り、木の実を食べていたので進化が止まり、木登りが下手な劣等生だった人間の祖先は外敵から身を守るために火を使い、木の実が取れないので狩りや農耕を始めたとする説です。弱点があったからこそ進化した。全員、木に上手く登れる猿だったら人間への進化は起こらなかったという説です。(人類の祖先、木登り下手説)
営業が出来ない人
この話を私たちに置き換えると、201X年の時点で営業が出来ない人とレッテルを貼られていた私たちは、その後、進化し続けた結果、NAVi事業は全国の超大型NAViの普及を先導し、MNV保守事業は収支を大幅に改善しました。デジタル化では今も全社を牽引しています。一方、設備販売課はコロナ禍の中でうまく進化できず、毎年、売上の確保に苦労しています。開発より防衛の辛さが大きくなり、職場環境は逆転しました。今では職場のストレス状況チェック結果が示す通り、平均的には設備販売課のほうがモチベーション維持が大変です。
御用聞きはできない
ひとつの疑問は、私たちは本当に営業ができない人で、設備販売課は本当に営業ができる人だったかという点です。実は設備販売課で本当の意味での営業(お客さまを動かす提案)をしていたのは少数で、多くは「御用聞き」だった。当時のMNV保守チーム、チームNAViは尖った人が多かったので御用聞きには適していないだけだったという仮説も考えられます。私たちは今も御用聞きはやりませんが、顧客を動かす提案はやり続けています。超大型NAViを本社や中部支部より多く売った実績やMNV保守では新商材を自発的に作り、提案し、成約を重ねています。
できる限りのお膳立て
自分のほうが優れていると思って木の上から眺めていた人たちも、自分たちの現在地に気づき、営業第一課の活動を取り入れ、進化・変化しようとしています。営業第一課は、進化・変化をしようとする組織をサポートします。できる限りのお膳立てをします。私たちの役割は、あくまでも付随事業なので、基本は基幹事業が上手くいくためのサポート役です。付随事業だけ幸せなのはまったく意味がないので、設備販売課に限らず、他部門や取引先、顧客の事業にどう貢献できるかを考えて行動します。
ワンフレーズ
最後に各事業へのワンフレーズ・ワンメッセージです。MNV保守事業は「赤字から稼ぐ」です。出来る限りのお膳立てをします。NAVi事業は「縮小のスピードアップ」です。事業安定のための縮小の先には新燃料へと続く道があります。TRAi事業は「これ以上赤字にしない」です。花形事業に返り咲きます。
安心してください
今日、伝えたいことは「TRAiチームのみなさん安心してください」ということです。TRAi事業は付随事業の中でいち早く赤字を脱したはずでしたが、ここ数年、事業環境が悪化し、つらい立場にありました。営業第一課では変化することへの恐れがなく、事業再生のノウハウもあります。はやく馴染んで変化するとすぐに「いいこと」が起こります。これからは事業の安定運営、安定成長を前提に3つの付随事業を合わせた黒字化を目指します。直観的にはそれほど先ではない未来に3つの事業を合わせた黒字化は実現できます。
202X年X月X日 大阪南支社 営業第一課長 小鹿 輪
★reference「営業第一課新体制の説明会 〜人類の祖先、木登り下手説〜」
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