妻の最後のプレゼント。それは、私が独りにならないための「居場所」だった【4.03】

エピソード4

〔秘伝書④〕「社会奉仕。エピソード4/ビジネス思考でUPDATEする、僕らの街の未来 東海市アップデート宣言 ~言葉より「行動」を。口先より「成果」を~」

  • 第一章.【原点】「志」の源泉
  • 妻の最後のプレゼント。それは、私が独りにならないための「居場所」だった【4.03】

正直、なぜ今?

54歳目前の私に、妻が勧めてきた。「ボクシングやってみたら?」。闘病から一年、少しずつ回復していた妻からの突然の提案だった。正直、なぜ今?と思った。だが、その時の私には、妻が仕掛けた、未来への壮大な伏線であるとは知る由もなかった。

謙虚さと闘争心

本部長就任を前に「謙虚さと闘争心を磨く」という大義を掲げ、トコナメジムの門を叩いた。プロの本気に感化され、悪ガキのようなトレーナーにいじられる。そんな心地よい空間に、妻を安心させるための芝居のつもりが、いつしか本気になっていた。

想定外の成果

心が変われば、結果も変わる。ボクシングで心と体の使い方が上手くなり、マラソンでは54歳にして自己ベストを更新。知多梅子マラソンでは入賞を果たし、東海ハーフマラソンでは86分台を記録した。想定外の成果は、私に大きな自信を与えてくれた。

唯一の安息の場所

ジムの仲間たちは、職業も家族構成も詮索しない。純粋にボクシングを愛し、汗を流す。そんな彼らとの関係が、心地よかった。私がどれほどの状況にいるかなど誰も知らない。だからこそ、ジム内では全てを忘れられる、唯一の安息の場所となっていた。

だが叶わなかった

妻の病状が悪化し始めた春、私はリングで戦う姿を見せたくて、大会への出場を熱望した。だが叶わなかった。仕事の大一番も見据え、休会届を出した一ヶ月後、妻は旅立った。会長に報告すると「もっと早く言え」と叱られた。その言葉が温かかった。

オヤジファイターズ

オヤジファイターズたちが、私を放っておかなかった。バンドのライブに誘い、励ましてくれた。情緒不安定な私を、黙って受け入れてくれた。我が家に大勢の仲間が集まってくれた。一人で悲しむしかなかった私に、温かい居場所がそこにはあった。

最後のプレゼント

今なら分かる。妻は、自分の残り時間が長くないことを悟っていたのだ。私が独りにならないように、この温かいコミュニティという「最後のプレゼント」を用意してくれた。保護猫ソラを家族に迎えたがったのも、私と先住猫モモのためだったのだ。

温かい繋がり

だから私は、この街のために戦う。妻が遺してくれたこの温かい繋がりを、今度は私が、街全体に広げていく番だ。誰もが独りにならない、互いに支え合える東海市を創る。それが、地域コミュニティの本当の力だと、私は身をもって知っているから。

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